東淀川区上新庄駅近くの放課後デイサービス、放課後エジソン児童発達支援・放課後等デイサービス代表の舩曳です。 タイトル通り、「発達障害は呪われた障害なのか、天才に至るための祝福なのか」について述べて行きたいと思います。
発達障害という言葉
発達障害のしんどさ=発達障害のしんどさと読み替えてもいいです。
- ・ADHDやADD(多動がないタイプ)
- ・ASD(自閉症スペクトラム)
- ・LD(学習障害)
こういったものが発達障害の分類ではよく使われるのですが、
・ ADHD(注意欠陥多動性障害)
不注意+衝動性+切り替えの困難さを伴います。落ち着きがない子も居ます。
人によりまとまりのない話と多弁さがあります。
・ASD(自閉症スペクトラム)
空気を読まない発言が見られます。会話の受け答えがあまり上手ではありません。
切り替えの困難さによるコミュ力の低下。他のメンバーは次の話題や課題になっているにも関わらず、自分の脳内だけで話が展開している子がいます。
二次的に生じる引っ込み思案となったり、そこからの経験を避け、結果的に経験不足になる人が居ます。
・LD(学習障害)
算数や数学の文章題で文章から数式化することが苦手。総じて文章などの手がかりから具体化することが苦手だったりします。
国語で作者の気持ちを推測するということを字義通りに受け止め、真意を理解することが苦手。本来国語では、問題作成者の意図を読み取ることが多いですし、新年度の学習要項では、前の問題を前提とした上で、次の問題が問われる(学力テストより引用)ものが増えており、発達障害のお子さんは最初で躓くとあとの問題は全く解けなくなり、全体の点数が下がります。
そもそも漢字の形を見て書くことがしんどいと感じる子もいる
二次障害として不登校や愛着形成の失敗、自尊心が低い(自信がない、自虐的なことばかり言う)、それもあり励ましてもやらない、などが挙げられます。
もちろん二次障害は他の疾病や障害でもなる可能性があるものです。
尖ったものを見つける
大体の場合、発達障害を持つお子さんは、「凸凹という名の尖ったところ」があるので、それを正確に見立てることが重要です。 正確に見立てるについては、後述します。
更に磨く
尖ったものの見立ての先に、発達障害のお子さんの得意かつ生きるための取っ掛かりになるところがあります。物になるのかならないのか、見極めるためにもお子さん自身やまた周りで見つけた大人はそこを磨いて行く必要があります。その上で、 1)突破する 四六時中夢中になれるという発達障害の特性とうまくかけ合わさると、まさに夢に見るほど没頭するため、ある日突然、「突破」が起こります。突破とは、まさに1つ上のステージであり、突然閃いたかの如く、急に「理解度」が上がります。それは御本人も理解しているわけではなく、「出来た」という現象でのみ確認することが可能です。将棋や囲碁、野球などのイメトレが通用する世界では、この現象が起こりやすいです(イメトレはどの世界でも共通して出来ることではありますが) 2)ABAやSSTによる合理性の獲得 ABA(応用行動分析)を通して、行動量を増やすことが可能です。当ブログでは何度もお伝えしているように、行動量が増えると「質が上がり」ます。目標志向になりますので、結果だけ見るのではなく、「結果に至る正しい行動をどれだけたくさんしたか」ということで自己判断出来るようになります。まだ結果が出ていない場合でも「自分はやった」と思い、自信がつくことにも繋がります。
大人という環境をどう使うか
ここでは便宜上、ネットの情報も大人として扱います。正しい、的を得た見立てを出来るのであれば、それに基づき、本人に与える情報を取捨選択することが出来るようになります。望ましい情報はさらに深掘りしていくことが出来るようになります。深く掘ることで知識を得ることはさらに楽しくなりますし、正の螺旋が生じるようになります。
次の段階が「その行動の生産性の評価をする」です。例えば、いくら好きでも塗り絵ばかりしていても、それはその方の生産性にはなり得ません。なぜなら、周りから評価されやすい表現の仕方ではないからです。生産性の評価とは
1)注目されるかどうか
注目されることは数なので、またここでも数から質を生み出すことが必要です。
めちゃくちゃ噛み砕いて言うと、発信力がここでは問われます。
上記の例であれば、塗り絵は生産性の低い活動かもしれませんが、写真であるかのように色鉛筆を使って表現することは評価される時代です。そうであれば、写真からどれだけリアルに書き出せるか、ここを深めて行く方が生産性は高いし、注目されやすいということになります。
2)他人から見ての習得のし難さ
他人から見て、そのスキルが身につけにくいほど、生産性は高いです。当然注目されやすいという点をクリアした上でです。
例えば発達障害を持つお子さんがクッキーやフィナンシェなどのお菓子を上手に焼くまでは出来る場合もあるかと思いますが、そこまではまだ習得がしやすい段階で、次にこれを食べた方や、今後食べたいからということでクラウドファンディングで1000万円集めて、自分の会社を作るまでという経験談は、一般的には習得し難いものなので、注目度さえ高ければ、生産性は高い活動と言えます。
3)その人が教えることや提供サービスを受けたいと思う人が多いかどうか
注目もされていて、習得し難いものであっても、他人から見て、そのサービスを受けたいかどうかは全くの別問題です。サービスを受けたいあるいは教えを請いたいと思う人が多いものほど、生産性は高いと言うことが出来ます。
これらはまだまだ一端に過ぎませんが、大人がある程度のガイドをするからこそ、発達障害の特化能力は世間から評価あるスキルとして、評価されやすいと言うことが言えます。
大人という環境をうまく使うことは発達障害の療育においてとても大事なことです。
また努力が適切に評価される必要があります。これは見立てレベルでも高レベルな行為だと思いますが、なかなか成果が出ない正しい努力やすぐに成果の出る間違った努力というのは、修正が必要です。
例えばよくあるのが、放課後デイサービスに限らず、宿題の正解を「間違えた過程を理解することなく、答えだけを教える支援者」というのも存在します。
彼らは、間違えているわけではありませんが、正しくお子さんの能力の現段階を理解しようとしたり、成長を願っている訳でもありません。
ただ支援者は「間違えた自分と向き合わずに済ませるために」とりあえず正しい答えだけを教えて、大事な見立てや支援過程をすっ飛ばしてしまうのです。
「成果が出ていなくても正しい行動や努力はご褒美で強化する」ということは、大事な過程で、支援者の根気が今後のお子さんの根気にも繋がっています。これを積み重ねることで、そのうち自分でも出来るようになります。
読書が一番
本とは、すでに出版されている時点で複数の大人が認めているものです。その点で、本を通して得る情報はある程度の精査が入っています。 また本は逃げ出しません。そのため一つの内容に対してじっくりと取り組む癖が付きます。ただ大事にしないと破れたりして、失うことも学習出来ます。 そして多読により、本質理解が進みます。同じテーマで複数の本が扱っているテーマがあるなら、それは「本質であり、絶対大事なこと」なんでしょう。気がついたタイミングで、承認する大人が近くに居ると、その行動は(成果がその時点では出ていなかったとしても)強化され、ますます本が大好きなお子さんになります。
発達障害をどう捉えるか
「個性の時代」と言われており、一昔前までは「少し変わったところのある子」と言われていたことが、最近では「発達障害」と言うネームド(名付けられたの意味。ゲームや小説世界でよく使われる言葉)になりました。発達障害はその方の苦手なところに注目すると、「ダメな人」「出来ない人」と呼ばれることも多いでしょう。反対に得意なところを伸ばす環境に身を置けば、「すごい人」「天才」と呼ばれることになります。 発達障害のお子さんを持つ保護者様にこの言葉を贈ります。 「目一杯の祝福を君に」